これって認知症?(認知症の兆候)
これって認知症?(認知症の兆候)
いつもしっかりものだった母が、几帳面だった性格の父が、健康そのものだった妻が、あるいは、脳内出血で倒れたが一命をとりとめた夫が。物忘れが多くなった、いつもと違うことを言う、これまで見たことがない人柄になる。やり取りがうまくいかなくなった・・・
ひょっとして、家族が認知症(旧痴呆症)になったのでしょうか。あるいは、高齢のための物忘れに過ぎないのでしょうか。認知症には「兆候」があるようです。
家族こそが一番気づいている、わかっている
普段本人に接していない医師の診断で認知症の「兆候」をキャッチするのは、困難な場合が多いようです。理由は例えば以下のことのためです。
- そもそも認知症の専門医が少ない
- 大病院だからといって認知症の経験の深い専門医がいるとは限らない
- 診断のときに医師に対しては本人が症状を取り繕う場合がある
このようなことから、初期の段階で医師が認知症かどうかを見分けるのは難しいケースが多いようです。
むしろ、「いつもと違う」「以前と違う」「何かおかしい」と家族こそが敏感に気づく可能性が高い、と言われています。ですから、診察の際に、本人の診断の他に家族の普段の状態のメモ、報告が非常に大事で、家族と医師との連携がとても重要だと言われています。
コウノメソッドの河野先生は、家族の直感を大事にするべきと説き、もし家族が担当の医師に不安を感じたり話が通じない場合には、他の医師を探すべきだ、と言っています。
家族は認知症の本人と接して大変な思いをしている場合が多いと思いますが、当の家族が主体となって医師や治療法を探していくことで、かえって症状が改善してその結果家族が助かるケースも少なくないようです。
認知症の兆候(初期症状、前認知症(小ボケ)段階)
一般に、認知症の兆候として以下のような例が多いと言われています。
- 同じことを何度も言ったり聞いたりする
- 失敗が多くなり、言いわけをする
- 自分の失敗を人のせいにする
- 物の名前や人の名前が出てこない(あれ、それが多くなる)
- 物を置き忘れる、探し物が多くなった
- 物盗られ妄想が起こる
- 日付、曜日、月がわからない
- いつもの道がわからなくなる
- 勘違いや誤解が多くなった(話がずれる、噛み合わない)
- 判断や決定することができなくなくなった
- 怒りっぽくなった、落ち着かなくなった(イライラする、被害者意識的になる)
- 相手の意見を聞かない
- 以前よりもひどく疑い深くなった
- 薬の管理ができなくなった
- 買い物や預金をおろすなど、お金の使い方がわからなくなる
- 身だしなみに構わなくなった
- きれいにしていた人がお化粧をしなくなった
- ぼんやりしていることが多くなった
「老化による物忘れ」と「認知症」の違い
最初の気付きは、ちょっとした物忘れであることが多いようですが、それが認知症によるものなのか高齢によるものなのか、区別しにくいようです。身近にいる家族だからこそ、微妙な変化に気付けるかもしれません。
年をとると誰もが「物忘れ」をするようになりますが、この場合、体験の一部を忘れたとしても全てを忘れることはありません。しかし、「認知症」の場合には体験を丸ごと忘れてしまうのです。
さらに「認知症」の場合、古いことは覚えていても新しいことを忘れるという傾向があるようです。認知症の「物忘れ」の症状は、進行していって酷くなっていきます。
信頼できる医師の下で診断を
認知症の兆候かもしれないと思ったら、早めの診断がよいとされています。そのわけは、「認知症だと思ってもそれ以外の病気だった」という場合があることや「認知症であっても、原因となる病気によっては早期治療で治る」ものがあったり「早期の対応で進行を遅らせられる」ことがあるからです。
ぐずぐずしていると、その治療効果も薄れていき、より深刻な状態になる場合もあるようです。まずは、専門の医師の下で診断することをお勧めします。
ただし、できるだけ認知症の診察を経験してきた信頼できる医師の下を訪れることが重要です。もしも医師が知識や経験不足で適切でない投薬などをすると、逆に症状が悪化する場合もあるようです。認知症の医師の選び方(コウノメソッド)を参考にしてください。